女子第5期生 活動の記録
 平成19年度女子第5期生の9ヶ月にわたる活動の記録をまとめました。
 仲間と共に過ごした時を思いかえしながら、3シーズンに分けた全18ステージをご覧ください。
■ 第1シーズン 
第1ステージ〜第6ステージ(3/23〜6/9)
  「はじめまして!」

 皆に呼んでもらいたい名前を言ったり、全員と触れ合えるゲームをしました。緊張もほぐれ、笑顔が沢山見られました。遊びを通して過ごしずつ名前を覚え、仲良くなりました。楽しいこと、きついことをチームや塾生全員で乗り越えていきましょう。 

   避難訓練

 厨房から出火と想定した避難訓練を行いました。「おさない」「かけない」「しゃべらない」を守って畑の方に避難しました。又、鹿島防災の方に火災の際の注意等を教えていただきました。
 中学生の塾生は代表で消化器も体験しました。いつ起こるか分からないので、事前に知識や体験をして、もしもの時に備えておくことが大切です。  

 
 鍬の伝授式

 雨の為、室内で鍬の伝授式を行いました。始めに塾頭のお話があり、「生きる力を大地から学ぶ」「母なる大地」「晴耕雨読」「鍬はなぜ秋なのか」と四つのことについて聞きました。その後、楢ア塾母から一人一人丁寧に大切な鍬が渡されました。初めて自分の鍬を手にして皆わくわくしていました。1期生から受け継がれている鍬を大事に使って身も心もたくましく成長しました。 
 しいたけの菌打ち

 シイタケの菌打ちは、ほぼ全員が初めて体験することでした。ドリルの使い方や菌の打ち方など、基本的なことをふまえた上で、早速やってみました。一人で穂抱木に穴を開けようとすると、バランスが崩れてケガをしてしまうので、仲間の協力を得ながら、みんなやり遂げました。先輩達が過去に打ってくれた穂抱木からは、もうシイタケが出ているものがあり、スーパーで売られているものは、こうやってできるのかと関心していました。
  みそ作り

 先人の知恵を学ぶということで、味噌作りに挑戦しました。日本には、漬物や味噌、しょうゆといった発酵食品や調味料が数多く存在します。いずれも保存が長く効き、日本の料理には欠かせない調味料ばかりです。3ヵ月後には自分たちで作った味噌を口にすることができました。自然塾のお味噌汁がとてもおいしいのは、みんなで愛情込めて生産したものだからと実感したようです。
  地域探索

 第2ステージでは地域探索を実施しました。みんな、お互いのことが分かるようになっての実施だったので、楽しんで参加できたようでした。坐禅でお世話なる万歳寺から、大山祗神社など、自然塾周辺にある主要スポットを中心にゴミ拾いを兼ねて探索をしました。途中、チェックポイントでは大きな声で歌を歌うところがあり、大自然を相手にチームみんなで腹から声を出してトライ。みんなと一緒にやったから楽しかったと感想を述べていました。仲間との絆作りのきっかけにもなりました。
 
  ジャガイモの葉の観察

 定植したジャガイモが大きくなったので、共同農園最初の活動に、このジャガイモの葉のスケッチしました。よく見ながら、鉛筆を片手に模写しています。小さくて白い毛が生えていたり、しわが細かく入っていたりと、よく見てみると色々な発見があります。
 「観察に始まり、観察に終わる」農業では、とても大切なことなのです。
  竹の子掘り

 春の味覚、竹の子の季節には鳥栖市にある竹林にみんなで出向いて、竹の子掘りを体験させていただきました。竹の子名人の藤本さんの指導の下、スコップを片手にみんなで掘り上げました。林のいたる所で「見つけたよ!」の声が飛び交い、みんな夢中になって掘りました。また、名人からは、竹の子の話も聞かせていただき、竹の子にはオスとメスがあること、竹の子の寿命が尽きる際には花が咲くことなど、普段聞けない竹の子の秘密を教えていただきました。
  
    チーム農園作付け発表会

 チームで計画してきた作付けをみんなの前で発表しました。持ち時間10分(発表7分、質疑応答3分)という限られた中でのプレゼンテーション。役割をみんなで分担し、発表に臨んだ塾生全員のがんばりをまずは労いたいと思います。野菜には簡単に栽培できるものから難しいものまで幅広くあり、作付けではその組み合わせや時期、面積などを細かく打ち合わせしていかないと、いざチーム農園に出て行った際に困ってしまいます。また、自分達の作付け計画に対しての質問やアドバイスは、その計画の質をより向上させるものとなるため、発表会終了後は修正タイムを設けました。
  塩水選

 塩水選とは種籾を塩水につけ良い種を選ぶことです。うるち米の比重は1、13とされています。その比重を計るために卵を使用します。水の中に卵を入れ、塩を加えていき、卵が水面まで浮き上がり横になったらうるち米の比重と同じとされています。比重が満たされた塩水ができたらその中に種籾をいれます。良い種は下に沈み、悪い種は上に浮いてきます。その浮いた悪い種を網ですくい選別しました。

塩水選
  

 温湯消毒
  温湯消毒 

 塩水選が終わったら、温湯消毒へとうつります。温湯消毒とは、57℃のお湯の中に10分間種籾をつけ、殺菌・消毒することです。どのチームも温度計を気にかけながら温度が下がらないようにお湯を注ぎ足していました。意外と10分は長く、57℃をキープするのに苦労していました。みんなが普段何気なく食べているご飯ですが、このように農家の人が苦労をして作った米がみんなの食卓へ届いているのです。米一粒にも感謝の心を忘れずに頂いて下さい。

  箸作り

 まず、ナタと金づちを使って竹を箸より太めに割っていきます。ナタは切れ味が鋭いのでどのチームも慎重に扱っていました。竹を割ったらナイフを使って箸の大きさに削っていきます。久保さんに教えてもらったとおりに安全な方法で削っていました。箸の太さに削れたら、ノコギリで箸の長さに切り完成です。みんな箸作りは初めてでしたがとても上手にできていました。箸作りを通して物作りの楽しさが体感できたようです。
  もち米の播種

 男子の塾生が塩水選、温湯消毒していたもち米の種籾の播種をしました。一番下の妹たちは二人で1つ、各チーム5つの種籾専用のトレイに播種をします。始めに水をかけ、その後種籾、泥を播きます。播き方は周囲からまんべんなく播きます。種籾を播き終わると、同じように周囲から泥を被せていきます。食べれるようになるまでは、まだまだ先なので、楽しみな反面、とても待ち遠しそうでした。

坐禅の話

坐禅当日
  坐禅

 
前日に坐禅会に備えて坐禅の話をしました。坐禅をしたことがある人は数人だったので、「痛いかな」と不安そうな声も聞こえていました。又、足の組み方、警策の受け方、白隠禅師坐禅和讃を読む練習をしました。坐禅会では和尚さんと一緒に白隠禅師坐禅和讃を読まなくてはいけません。少し難しいけれど一生懸命練習しました。翌日には萬歳寺にて坐禅を行いました。住職の石橋亨見氏より足の組み方から丁寧に教わりました。坐禅には呼吸の仕方まであります。呼吸を合わせると心も落ち着くのです。そして坐禅の間は色々考えます。しかし、一つ一つのことに取り合ったり、考えすぎたりせず、消えるのを待ちます。悪い考えは萬歳寺においてスッキリとした気持ちで帰って下さいというお話をしていただきました。
 
  泥んこ運動会

 騎馬戦は一回戦(あっちむいてホイ)二回戦(一騎討ち)三回戦(大将落とし)の三本勝負で行いました。前日の練習の成果もあって今日はすぐに騎馬が出来ていました。ハチマキが首まで落ちたり、騎馬が崩れたりすると終わりです。最後は大将同士の勝負で、すごい迫力でした。
 みんな泥だらけですが思いきり楽しめたようで、終了後にはとても良い笑顔を見せてくれました。泥んこ運動会を通してチームの仲や団結力も更に深まりました。
  ホタルの観察

鳥栖市ホタルの会、会長の緒方さんにホタルについてお話をしていただきました。
 お話の後、実際にホタルを見に行きました。体が小さく、強く光り、つけたり消したりしていて飛んでいるのがオス、体が大きく草の近くで弱く光っているのがメスです。
 一生懸命ホタルを見つけたり捕まえたりしていました。帰る時には逃がしてあげましょう。
 
■ 第2シーズン 
第7ステージ〜第12ステージ(6/22〜9/8)
  イモ挿し
 
 各チームとも1畝(うね)に70本ずつ植えていきます。まず、30cm間隔に苗を置いていき、その後定植していきました。美味しいサツマイモがたくさん実るといいですね!収穫が楽しみです。
  水辺の生きもの観察
 
 川の流れがゆるやかなところでは、アブラハヤの稚魚がたくさん取れました。
 上流になるにつれて足場も悪くなり、水深が深い箇所が増えてきました。生き物を入れるペットボトルを落とさないように慎重に歩いたり、びしょ濡れになったりしながら川登りを楽しんでいました。
  チームのシンボル作り
 チームの団結をさらに深めるためチームのシンボル作りを行いました。まず模造紙にチームのメンバーの手の平を繋げ輪を作り、好きな色のマッジクでなぞっていきます。次に自分の手の平の真ん中に、より良いチームにするために自分が心がけたいことを一つ書きます。そしてそれを実行するために必要なことを指に書き、阻害する要素を手の平の外に書いていきます。最後に、チームで今のチームに必要なこと、目指したいチーム像を話し合い、言葉や、絵で表現し手の平の輪の真ん中に書きます。各チーム書き終えたら、みんなの前でチームのシンボルについて発表してもらいました。
  田押し車

 この田押し車は力を込めて押さないと進まないので、見た目以上に塾生にとっては大変な作業でした。今回は皆ががんばってくれたおかげで雑草がきれいにとれてしまいました。最初は天気が悪く、少し寒そうにしていた塾生も作業後には汗びっしょりになっていました。お米を作るのには88回の手間がかかるといわれています。『米一粒は、汗一粒』この言葉の意味がよく分かったようです。
  感謝祭

自然塾のお母さんの楢ア塾母が塾生達に命の大切さについて話してもらいました。「いただきますは誰に対していっていますか?」という質問に塾生達の答えは「ただ何となく・・・」「お父さんやお母さんに・・」「作ってくれた人に・・・」などがほとんどでした。  塾生達はこれまで私達が普段口にしている食べ物はすべて「命」だということに気付かないで食べていたのです。今日から、いただきますをする時には、いただいた命に対してこころから感謝し、命を無駄にしないよう考えて食事をして欲しいです。
  ジャガイモ料理

 共同農園でとれたジャガイモを使って、コロッケとポテトサラダを作りました。塾生はとても張り切っていました。心配された天気も持ち直したので、野外で調理しました。
  田の草まぜ

 まず最初に田押し車で水田の除草をし、その後、一株ずつ株の周りの土を動かして、除草する「田の草まぜ」をしました。この作業は中腰で長時間行うと、とても腰が痛くなります。それでも塾生みんながよく頑張ったので、草のないきれいな水田になりました。今は除草剤を使うことが多いので、こういった昔ながらの除草は見られませんが、今回塾生達が汗だくになって頑張ったことで、お米を作ることの大変さを身にしみて感じてくれたのではないでしょうか。
  中間感想文

この時間は塾活動が残り半分となり、ここまでの自然塾での生活や自分自身の変容などについて書いてもらいました。書いてもらった作文を読んでみると「友達の大切さ」「命への感謝」「農作業のすばらしさ」などとても塾生活が充実し、成長していることを感じさせるよい作文が沢山ありました。
  チーム農園中間発表

チームごとに中間発表を行いました。各チーム発表時間7分で、播種や収穫時期等の作付け計画、今の畑がどのようになっているか、途中経過や畑のマップの三つを発表しました。又、発表後には質問の時間があり、保護者からも様々な疑問が飛び交っていました。
  野外炊飯

 分担して作り始めました。野菜の皮を包丁で剥きます。「難しい」と言っていた塾生も次第にコツをつかみ上手になっていきました。
 チームみんなで揃って合掌し、いただきました。チームによってカレーの味が少し異なっていましたがみんなおいしいと言って食べていました。
  そうめん流し

 みんなの頑張りが天に届いたのか、雨も上がり晴れ間も見えてきました。今日の昼食は楽しみにしていたそうめん流しです。朝の活動でみんなお腹ペコペコ。他の人のことはお構いなしにそうめんをすくっていました。
 稲の観察

 みんなが育てた稲も穂をつけるまでに成長しました。稲の花が咲く時間は10:00から約2時間と短く、咲いているところは見られませんでした。そのわずかな時間に受粉をし胚が太っていきみんなが食べているお米となるのです。
 河川プール

 待ちに待った河川プールです。日が射してきて絶好のプール日和となりました。水を掛け合ったり、追いかけっこをしたり、ボールで遊んだりして楽しみました。
 肝試し

 夜のプログラム、肝試し。2〜3人一組で、大山祗神社から万歳寺の上にある鳥栖市社会教育研修所までのコースを提灯一つで登って行きます。
 人形が落ちてきたり、お化けが追いかけてきたりと、いろいろな仕掛けが塾生達の前に立ちはだかります。怖くて前に進めず同じところをうろうろしたり、ビックリした拍子に提灯の灯が消えたり、提灯に火が燃え移ったりと様々なアクシデントに見舞われながらゴールを目指していました。どのチームも「ギャー!」と叫びながらも無事にゴールまで辿り着きました。

出発前

りんご峠
 九千部山登山

 「わー、眺めがサイコー!!」
頂上の展望台に登って見た景色は、遠く福岡タワーやソフトバンクホークスの本拠地であるヤフードーム。そして、自然塾のある鳥栖市、久留米市まで360°の大パノラマでした。昼食は、この景色を見ながらの特製弁当。他のどんなレストランよりもおいしかったのではないでしょうか?
塾生達の顔には、登りきった達成感と笑顔が浮かんでいました。よくがんばりましたね。

九千部山頂上
■ 第3シーズン 
第13ステージ〜第18ステージ(9/21〜12/2)

万歳寺

市民の森
 清掃ボランティア 

 A・B・Eチームは市民の森、C・Dチームは万歳寺を清掃しました。活動の前にはボランティアとは何かの話があり、全員で考えました。
 自然塾で生活や様々な活動ができているのは沢山の人たちのおかげという気持ちを忘れずにしたいですね。一生懸命取り組んできれいになったのを見ると気持ちが良いものです。
 道具の手入れ


 いつも使っている小刀と鍬の手入れをしました。きちんと手入れをすると道具が長く使えます。
 小刀の研ぎ方を教わり早速、研ぎ始めました。この時間に上手になっている塾生も多くいました。
 鍬は水気をよく拭きとり、廃油を塗ります。1期生から受け継がれ、農業には欠かせないので大切に扱いました。

稲刈り

結束

 稲刈り 

 最初に稲刈りについての説明があり、その後、チームごとに分かれて、稲刈りを始めました。最初は上手に刈れず、苦戦している塾生が多くいました。しかし、次第に早く上手にできるようになってきました。刈った稲は下の方を揃え、4株ずつまとめて置きます。
 まとめ終わるとほさ架けです。結束した稲を竹に架けました。ほさ架けの後は落ち穂拾いです。どうしても穂が落ちてしまうので最後に全員で拾いました。
「米一粒は汗一粒」
というように稲が大きくなるまで時間と手間がかかります。米一粒一粒を大事にして欲しいです。

ほさ架け

千歯こき

足踏み脱穀機

コンバイン
 
 脱穀

 乾燥させた稲から、いよいよ穂を外す作業に入りました。使う道具は、「千歯こき」「足踏み脱穀機」「コンバイン」の3種類です。
 道具は、時代とともに進化し、機械化されていきました。まず、「千歯こき」から始まった体験は、塾生に大いに学びを与えると共に、昔の人々の米作りの苦労や食べ物を大切にするという精神を伝えてくれるものと考えています。しっかり、脱穀して、新米の味を噛みしめながらこれからも食べ物の大切さを大事にしていって欲しいものです。
 
 早朝日の出登山


 午前6時30分東の空が紅く染まり出しました。日の出を拝むには最高のコンディションといった第3日目の朝。太陽は、ゆっくりとその姿を、私たちの前に現わしてくれました。「わあー!きれい!」塾生の第一声は、この言葉でした。そして、太陽がその姿を全て表すまでみんなで静かに見守りました。私たち人間が、この地球に地に足を着けて生きているということ。生かされているということを実感できたのかもしれませんね。とても良い時間でした。

 
 収穫

今年は暑さのせいか虫が大量発生しており、大切に育ててきた白菜等の葉物の野菜が食い荒らされていました。最初は虫に触れなかった塾生たちも、今では触れるようになりました。立派な野菜を育てるためには様々な命が犠牲になっています。その犠牲となった命のためにも立派な野菜を育てていきましょう。
 どのチームもさつま芋の収穫をし、ブロッコリーや大根などたくさんの収穫物がありました。

 餅つき

 臼の中にもち米を入れ、杵で潰していきます。ある程度潰れたら、三人一組で餅をついていきます。つく順番を決めて「いち」「に」「さん」と掛声をかけてついても一緒についてしまったり、杵と杵がぶつかったりと最初はなかなか息が揃わなかったけれど、徐々に揃いだし上手につけるようになりました。
 もちをついたら、丸めていきます。温かいうちに丸けていかないときれいに丸まらず、しわだらけになってしまいます。塾母さんに上手な丸め方を教わりながら丸めていきました。

三つの心と二つの力の火を持って入場

各チームの出し物
 夜のつどい

 一人一本ろうそくを持ち、お姉ちゃんが燭台よりろうそくに火をつけ、その火をチームのみんなのろうそくへとつけていきました。みんながつけ終わると一人一言ずつ塾での思い出を語りました。その後、「smile again]を合唱し静かに夜の集いは終了しました。
 卒塾式

12月9日、第5期生 男子30人 女子30人が自然塾を巣立ちました。

入塾してからの9ヶ月、多くのことを経験してきた塾生たち。
心身ともにたくましく成長しました。