男子第2期生 活動の記録
 2004年3月19日から11月28日まで、第2期男子塾生が過ごした活動の記録です。

 四季折々の季節を過ごしていくなかで、彼らが成長していく過程をスタッフや、この河内の自然達が見守ってきました。


 3シーズンに分けた全18ステージの過程をご覧下さい。
■ 第1シーズン 
第1ステージ〜第6ステージ(3/19〜6/6)
・2004年3月19日(金)。いよいよ始まりました、市村自然塾 九州 男子第2期生の活動。
期待と不安が入り混じる中、共同農園作業からスタートです。まずは、朝一番の新鮮な空気をたっぷり取り込むために、今年から始まった太極拳。見よう見まねで、深呼吸どころではありませんでしたが、その取り組む姿勢は真剣でした。
 また、初めての農作業として、鍬うちの練習。道具を上手く使いこなすことができれば、これから始まる作業がグンと楽しくなってきます。しかし、すぐ「疲れた」、「キツイー!」「休もう!!」などと、弱音を吐こうとする塾生諸君。この先やっていけるのか、心配です。
 このステージのメインとなる農作業。いよいよ米作りがスタートしました。
 我々日本人の主食であるお米をもみの選定から、消毒、田起こし、代掻き、播種、田植え、除草、そして稲刈り、脱穀といった行程をシーズンを通して塾生自らの手でやっていきます。

 まず、作業に入る前に塾頭から、
米という字は八十八と書く。八十八もの手間ひまがかかって、はじめて、みなさんの食卓に出てくるんですよ。
健康で丈夫な種もみを硫安の入った水溶液で選んだ後は、これを、57℃の温湯で10分間消毒して、病原菌などを殺します。
 塾生は、「あちっ!あちちち!」と口にしつつも、交代しながら作業を行っていました。

 この種もみが、秋には新米として自然塾の食卓に登場してきます。

 本当においしいんです。塾生諸君は、きっとお米の真のおいしさを体験することでしょう。
 チーム農園の作付け計画が完成しました。いよいよ、みんなの前で発表です。この9ヶ月間、チームで育てる野菜たち。播種から、収穫までの全ての工程を、自分達の手で育んでいくわけです。

 いわば、チームのみんなで農園を経営していくということですね。

 これから先、野菜たちとの成長を通して、塾生がどんな事を学んでいくのか、楽しみですね。
先人達の知恵とコツを学ぶ。縄ないは、昔の人たちの知恵の結晶。藁のより方、足の指で藁を引っぱる力加減。見た感じでは、何だか簡単に出来そうですが、これが実際にやってみると難しい。農作業をやっていると、こんなことが当たり前のようにあるわけです。できると思っていたことができない。そこで、初めて「学ぶ」んですね。
 自分は何もできないんだってことに気づいた時、人は一から謙虚に学ぼうとするのでしょう。
 
竹の子掘りも、これまた、竹の子を発見するのが難しい。名人である、鳥栖市職員の方からコツを教わるのですが、なかなか発見できません。

 やはり、これも経験から得たもの。失敗とそれに対する学びの連続が、早く上達させる近道。

 でも、自分で見つけた時は、嬉しかったなぁ〜。
 
朝日を見るために、杓子ヶ峰(標高247m)に登りました。朝3時に起きて、眠い目をこすりながら登った杓子ヶ峰。山と空の境目から、日の光が見えたとき、塾生は皆見とれてしまい、ただただ黙ってその場に仲間と肩を合わせて座っていました。

 生まれたての太陽は、言葉では言い表せないぐらいの美しさでした。
 縄結びは、一苦労。これも縄ない同様、体で覚えないことには、マスターできません。男結びの練習をしているのですが、なかなか上手くできずに苦戦している模様。

 諸君!これをマスターすれば、チーム農園で使える機会が増えるのだ。

 最後まで、あきらめずにマスターせよ!




おれたちゃ、ムツゴロウブラザーズだぁ〜!
 もうすっかりお馴染みの行事となりました、自然塾恒例のガタリンピック。さすが男子だけあって迫力満点!
泥しぶきを上げながら、田んぼの真ん中を疾走する姿は、とてもカッコいいですね。
 チームワークがものを言う競技、ガタスキーレースでは、激しいデッドヒートを展開!優勝賞品の焼肉大盛りチケットを目指して、レッツ・ゴー!!
 ガタリンピックから一夜明けて、いよいよ田植えとなりました。

 昨日、この田で暴れまわったせいか、田の土も柔らかくなっていました。

 「米一粒は、汗一粒」を思い出し、一つ一つ丁寧に植えていく塾生達。

 収穫の秋を迎えるまで、楽しみですな〜。
 
今日は、河内ダム周辺の清掃ボランティア活動を行いました。出るわ出るわ、こんなにたくさんのゴミが。

 塗料スプレーの缶、弁当ガラ、ペットボトル、空き缶に衣類。

 拾いながら、塾生諸君も何かを感じた模様。

 結局、地球を汚しているのは、他ならぬ人間なのだと・・・。


なんでこんなものまで捨てるんだ!?
   一生懸命活動に取り組んだ後は、みんな楽しみにしていた川遊び。

 パンツ一枚になって、水をかけあったり、相撲をとったり。

 楽しいことに、理由なんていらないですね。
■ 第2シーズン 
第7ステージ〜第12ステージ(6/18〜9/5)
 第1ステージに定植したジャガイモを収穫して、コロッケを作りました。
チーム毎の手作りコロッケです。
どのチームもホクホクのコロッケを前にして、何だかとっても嬉しそう。

 大地の恵みに感謝しながら・・・。

 「いただきます!!」
 静かな時間の中で、少し自分の心を落ち着けてみましょう。

 自然塾から、歩いて15分ぐらいのところにある萬歳寺(まんざいじ)の和尚さんにお願いして、2度坐禅を体験しました。心や気が集中していないと、体が動いたり、頭がふらふらするなど、人間の心と体は密接に関係しています。ピシッと、和尚さんからの警策で、背筋が伸び、すっきりとした気持ちで、新たに気持ちのメリハリがつきます。
 貴重な体験だったね。
 今、自然塾の共同農園では、夏野菜の収穫ラッシュを迎えています。

 農作業の合間に、おやつとして振舞われた、トマトの丸かじり。

 冷水に浸しておいたから、冷たくて、何といってもその甘みのおいしいこと。

 夢中になってトマトをほおばる塾生の表情が印象的でした。
 ガタリンピックの時に植えた、稲は、もう塾生のひざよりも大きくなっていました。このぐらい大きくなると、除草と空気を土中にたくさん送り込まないと、美味しいお米を収穫することができません。

 この作業の中でも、先人達の知恵ということで、田押し車という道具を使って、文明の力を学びながら、株かきを行いました。
 夏の風物詩と言えば、肝だめし。萬歳寺まで向かう道の途中には、様々な仕掛けがいっぱい。

 一つ一つを乗り越えていかなければ、大切なお札をもらう事ができません。

 あまりの恐怖に、腰を抜かしてしまう者もおり、盛り上がる事のできたプログラムでした。
第10ステージは、親子大会。塾生は、今まで育ててきたチーム農園の中間発表報告をしました。
上手くいったこと、収穫できたもの、失敗した事、これからどんなものを植えていこうとしているのかを、彼らなりの言葉で、保護者の方々へ説明していました。
 休憩時間では、自然塾の共同農園で作られたトマトが保護者にふるまわれ、「うちの子は、こんなにも美味しい野菜を食べているのか」と感心。

 塾生にも、保護者にも、お互いに良い時間となり、家族の絆もより強まったことでしょう。
 男子第2期生の中では、今、新撰組ブームです。
局長の近藤さんを筆頭に、各チームに隊士がいます。

 悪い事をしたり、決まりを守らない者がいると・・・、
どこからともなく、「御用改めであ〜る!」のかけ声が!

 この、数ステージ後に、正式な屯所と組旗ができたことは、言うまでもありませんでした。

 自然塾御預 新選組 見参!!
 菊作りにチャレンジ!

 地元鳥栖市から、菊作りの名人をお招きして、色々と手ほどきを受けました。

 これからは、自分の手で、この命を育てていかなければなりませんね。

 自分のかけた愛情は、菊の花に正直に反映されてくるのです。
共同農園では、蕎麦の播種、共同農園の除草など、ハードな活動にもかかわらず、地道にコツコツと作業に取り組んでいく塾生達。このころから、弱音を吐く塾生の数も少なくなってきました。
 力いっぱい仕事をすると、腹が減ってくる。今日のお昼は、そうめん流し。

 上から流れてくるそうめんをキャッチ!!

 食べても食べても流れてくるそうめんに気をとられ、器にいれたそうめんも忘れて、夢中でほおばる塾生諸君。

 みんなで和気あいあいとした中で、食べるそうめんは、サイコーだ!!
 休み時間を利用して、竹馬の練習。バランスが大切だ。

 上手に乗りこなせる者は、上手く乗れない者にアドバイスをしています。

 遊びを通して、助け合いの気持ちを育む事は、とても大切な事。チームを越えて支えあう姿は、人間らしくて格好がいいね。
 さあ、坐禅も2回目を迎えました。1回目の要領を得てか、塾生のほとんどが自分に目標を掲げて臨んだようです。自分から、積極的に警策を受けに手を合わせる場面が見られ、自己の精神鍛錬に取り組む塾生が目立ちました。

 静寂の中で、彼らは一体、何を感じたのか?

 この後のふりかえりが、楽しみです!
 第3シーズン 
第13ステージ〜第18ステージ(10/11〜12/8)
 自然塾の名物行事の一つである、九千部山(848m)登山。天候が不安定な中、スタートしましたが、塾生はご覧の通り元気モリモリ!!特に通称「リンゴ峠」と呼ばれる峠では、それまで急傾斜を一気に登ってきて、バテた体のスタミナを取り戻す「リンゴ」を食べると、みるみるうちに元気になってくるポイントなんです。
 中には、リンゴを丸かじりしたことがない塾生もいたらしく、種ごと食べてしまった者も・・・。
 何はともあれ、元気が一番!頂上まであともう一息だ!!
 実りの秋。水稲塩水選・温湯消毒から始まった稲作もとうとう収穫の季節を迎えました。今年は、台風の到来がとても多く、何度も稲が倒されてしまい、穂が地面に着いて発芽をしてしまっているものや、病気になってしまうものまであり、苦労の連続でした。しかし、塾生は自分達が育てた稲を、大切に手で刈り取り、仲間と協力して掛け干しまで行いました。
 あとは、乾燥、脱穀、精米をすれば、食卓に登場。八十八もの手間と暇をかけて育ててきた米。
 米粒を一粒でも残すと、昔の人は、顔を真っ赤にして怒っていたという話は、自分達が米作りを経験しないと分からない話です。普段当たり前のように食卓に並ぶごはんは、こうした農家の方々の苦労があって食べることができるのです。
 まさに、「米一粒は、汗一粒」なり。
 
 乾燥した後は、脱穀です。昔の道具「千歯こぎ」に始まり、足踏み脱穀機、そして、収穫〜脱穀〜袋詰めまで一気にやってくれるコンバインを順を追って体験しました。現代で使われる農機具は、昔の人達が編み出した知恵をさらに改良して、仕事の効率をあげたり、作業のスピードを上げたりといった創意と工夫の結晶です。
 ある塾生がこうつぶやいていました。「昔の道具は、手間がものすごくかかるけど安全。今の道具は、仕事は速いけど、危険」と。
 良い気づきだね。
 焚き火を囲んでの夜なべ談義。塾生は、それぞれ自分の思いを仲間に話しているところです。これまでの自分は、どう変わったのか?これから、どんな風に生きていきたいのか?

 みんな、メンバーの話に静かに耳を傾けていました。
 農業の最終章、ニワトリの解体のプログラムです。
人間は、他の動物の命を頂くことでしか、生きていく事ができない動物。普段、私たちが美味しく食べている鳥の唐揚げでもご飯でも、サラダでも、元は土によって命を育まれ、子孫を残すために懸命に生きてきた動植物。
 人間も動物である以上、生きていくためには、他の生き物の命を頂かないと生きていけない。
 残さずきちんといただく。手を合わせて、「いただきます」「ごちそうさま」をする。鶏の死が教えてくれたものは、命に対する畏敬の念と食べ物に対する感謝の心でした。
 中学生が小学生に、親身になって色々な作業のアドバイスをしています。最初の頃は、兄ちゃんの言う事を聞かなかったり、兄ちゃんが弟達を置き去りにしてしまったりと、お互いにどう付き合ってよいのか分からず、喧嘩が絶えなかったのですが、シーズンも後半になると、お互いの間合いが分かり、助け合いの心が育まれてきました。
 
 本当は、夏にやるはずだった野外炊飯。台風のせいで男子はずっと延期だったのですが、やっと念願かなって野外カレー作りに挑戦することができました。

 どこのチームでも、「お〜い、早よ材料持ってこーい!」「ニンジンがでけ〜ぞ!!」と大声が飛び交っています。活気溢れる中庭前広場は、笑顔がいっぱい。

 楽しく作って、おいしいカレーを食べよう!!
 卒塾式まで、日程もかなり迫ってきました。
卒塾式で塾生みんなで歌う歌の練習。「ふるさと」と「ビリーブ」を特訓中。

 2部合唱なので、音に釣られてしまったり、リズムがバラバラになってしまったり。

 悪戦苦闘の日々はまだまだ続きます。

 がんばれ!男子塾生諸君!!
 今日は、餅つき。仲間と協力しておいしい餅にしていきます。餅をつくだけでなく、蒸かしたり、丸めたり。色々な作業に立ち会って、どのポジションも大切なんだということを実感していました。特に、蒸かす工程では、中までしっかり火を通していないと、硬くて粘りの少ない餅になってしまいます。

 経験を積まないと、体得できない部分だね。
 台風の影響で、わずかにしか取れなかった蕎麦の実を石うすで、粉にしていきます。

 ゴリゴリ挽いていくと、石うすどうしの間から、蕎麦粉がポロポロと出てきました。

 夢中になって挽いている塾生諸君。

 真剣な眼差しが、とても印象的でした。
 卒塾記念品作りということで、スーパー竹とんぼ作りを、ボランティアの久保さんから教わっているところです。

 ナイフの使い方を通して、道具の正しい使い道や安全の意味を幅広く教えて下さいました。

 竹とんぼが飛ばないのは、なぜだろう?そんな時、そっとコツを伝授してもらったりなど、見えないところでたくさん知恵を塾生に授けてくれました。
 チーム農園閉園式。この9ヶ月間お世話になった畑を自然塾に返す日がやってきました。虫や病気で悔しい思いをしたこと。おいしい野菜を作って、家族がとても喜んでくれたこと。自然塾の思い出は、このチーム農園といっても過言ではありません。

 命と最初に触れ合った瞬間を感じたのも、このチーム農園からでした。

 チーム農園、ありがとう!!
 仲間と過ごす最後の夜になりました。焼き芋をしながら思い出話に花を咲かせていたようです。

 リーダーを中心に輪になって、歌を歌ったり、踊りを披露してみたり。

 それぞれのチームで、それぞれの時間を過ごしていました。

 思い出は至高の宝物。これからの男子2期生諸君の活躍を祈りたいものです。